By Kaori T.
09/20/2002
アメリカ大陸横断最終日。

『今日走れば終わりだね』誰かが言う。当り前の事実に少し感傷的になる。何日前くらいだったか吉野君とは「今日も1日宜しくお願いします」が朝の挨拶になっていた。今日の言葉はこう「今日こそ安全運転で行きましょう」

盗難防止にタイヤとフレームを繋いだワイヤーを外す。ハンドルロックを解除。イグニッションキーをON。走行ルートのミーティング。水はサイドバッグに入っている。 ずっと同じ作業を繰り返してきた。でも明日はない。「行きますか」のGOサインにアクセルを開く。空虚な思いはエンジンに伝わる。

ロスに向けてインターステートハイウェイ15を突き進む。モハベ砂漠。背丈の低い植物しか育たない乾いた荒野をいくつも超えてきた。何故か今ではそんな貧しい光景も愛おしく感じる、途中ハイウェイの脇にひっそりと走るルート66に再び降りる。アスファルトにはヒストリックロード66が白く焼きつけられ、少ない訪問者を迎えているよう、、、

ルート66最後のポイントで全員笑顔の記念撮影。空が高かった。「もうこの先はハイウェイで一気にロスへ向かいます」とスタッフの声、、ちょっと返事が出来なくて、ただうなずいただけでした。ハイウェイに乗ってから全員の思いがそのまま素直に走りに現れていた。大陸横断を始めた頃、ハーレーに乗って先導車の後ろをついて行くだけだったグループが、個々の自身を持ってアメリカの道を駆け抜けている。すごい。2週間前の自分とは違う自分を持って。

ロスに近付いたハイウェイ。右側から灰色の胴長バスが勢いよく入ってきた。最終日で初めて目にするグレイハウンドバス。全米を網羅する庶民の足。アメリカ捜しの若者は必ず1度はこのバスに乗って旅をするグレイハウンドも同じ旅の相棒。空っぽのバスは80マイルのスピードで追越し車線に入り、みるみる遠ざかって行った。

しばらく走ると潮の香がしてきた。ビーチが近いことを告げている。ついにロングビーチに到着。ロサンゼルスの空は薄曇りだったけど、皆の心は晴々としていた。『やりましたね! 完走です!』言葉数は少ない。それで通じ合えた。そして何より私達の旅を完全にサポートしてくれた”ネズ パース”の永田/宮田両氏に感謝したいと思う。危険な走行の時も真剣にアドバイスしてくれた、いつも笑顔でショットに入ってくれた。旅行パンフレットにない体験をさせてくれた。そしてなによりわがままな自分達に朝から晩まで付き合ってくれたこと。本当にありがとうございました。

アメリカ大陸横断。 さまざまな体験を得て思うこと。

自分の力を過信してはいけない
自然と真正面で向き合うこと
そして受け入れること
素直に感動すること
マシンを信じること
アドバイスを聞き入れること
そして楽しむこと

大陸横断記 
- 月風 かおり -
 
芸術書道家『月風かおり』 世界各国をバイクで巡り、風をテーマに書で表現。


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