By Kaori T.
09/13/2002
テネシー州ナッシュビル朝7時出発。サマータイムの為どの州も夜は8時半くらいまで明るく朝は7時でも明けていない。昨日の暑さは凄かった。ゆえ、朝はTシャツを1枚減らす。それも失敗だったみたい。今日は全行程の中で区間距離が一番長い。これからしばらく付き合うルート40をガンガン進む訳で朝から体を冷やしてしまった。とにかくレストアリアにてレインウェアを着込む。

メンフィスの町に近付いた頃には、午前中の雲空が嘘のようにジリジリと太陽が照りつけてきた。温度計を睨みながら改めて、体力勝負を実感する。エルビスプレスリーのグレースランドで昼食。 ルート55からまもなく大河ミシシッピー川をまたぐ。

アーカンソー州に入ると再びルート40ウエスト。ハイウェイのフリー走行は自分のペースで走る。次の集合ポイントまでの進行方向や地名などを間違えないように左手の甲に書き残したり、皆思い思いの走行方法で先導車の待つポイントを目指す。

下りで巨大なコンボイにけたたましく追い超されながら、軽い上りでなんなく抜き離してみたりはするがスピードリミットに準じて走行斜線に戻るようにしていた。時々田代君が平常顔で姿勢も変えずに追い超していく。まったく安定している。

行けども行けども大 - 大 - 大平原、グレートプレインズがこの先果てしなく続く。地平線の向こうまでハイウェイが延び自分の目に見えるものは分度器の形の空だけ、この辺りは綿花地帯かな? 収穫方法さえ想像がつかない広さ、農地を管理する人家らしき建物も遠く霞んでいる。

私の生きてきた風景の中にはおおよそ存在しなかったありさまを素直に感動しながら風を切ってゆく。「なんて広いんだろう!」信じられないスケールの広い野焼きを後方に飛ばしてリトルロックから二百年の歴史を持つ温泉地”ホットスプリングス”に入る。この地はハーレーのミーティングやイベントが多いらしく、周辺の道路と街内はハーレー族であふれかえっていた。

どうせ渋滞しているならシャッターチャンスとばかりにバイクを停めて地元ライダーと”パチリ”です。昼間は40度の暑さだった。区間最長もなんとかクリアし宿にたどり着く。日中の完全燃焼で夕食は遠出せず、地味に済ませることにした。外に出てみると同じ考えだったのか田代君と鎌田君も半月回りしていた。意見一致。

少し歩いたガソリンスタンド同地マーケットに入る。そこで涙、涙のカップヌードルに出会う。「今日の夕食はパンとこのヌードルにしよっと。」3人して買ったはいいが、、、、。今日の宿にはコーヒーメーカーのお湯沸かしはない。モーテルのフロントはクローズド、オフィスの看板には”NO VACANCY”(満室)の札がかかっている。このまま空腹で寝るなんて、、、。悲しい。 オーナー直通の回線に思いきってコールしてみる。『 I want hot water ! 』 オーナーの老女が同じ敷地のお城みたいな家から出て来てくれた。ここの客でヌードルのお湯がほしい事を告げると、お湯を用意してあげるから食べていきなさいと自宅に招いてくれた。『 HAPPY ! 』

「カノジョ ハ エイゴ ガ ハナセル ミタイダワ」老女が夫に言う。、、、そんな、、、鎌田君も田代君も借りてきた猫みたい。ここは笑顔で話すしかない。彼女は私達が日本でどんな仕事についているのか尋ね、ハーレーのフェスティバルが今日、昨日、明日とここホットスプリングスで行われるので街が大層にぎやかなこと、それと自分の夫が戦争に行ったこと、もう争いはこりごりだと言う話などしてくれる。互いに笑顔を絶やさなかった。長かった3分間の待ち時間。食べている間も彼女は「このお湯は夫が沸かしたのよ。」と何度も主張した。ささいなことでも決して裏方に回ることのないようにアピールする気配りには感心してしまった。「パンは部屋で食べようね、、。」

オーナー夫妻に感謝の言葉を言い、夕食物語は終わった。この旅を続けるにつけ出会った人たちの明るく気さくで親切なアメリカ人の気質に脱帽してしまう。彼等は必ず何処から来て何処へ行くのか尋ねる。自分以外の人間に真面目に興味を持ってくれる。そして自分自身の事も沢山話す。それがどんなに些細なことでも一生懸命話しかけてくる。癒されていく肉体は大自然の驚異によるものだけじゃないかもしれない。 たわいもない人とのふれ合いがクリアな風を運んできてくれる。

 
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